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アラート規定の補足説明

1. アラート制度の目的:
 ブリッジと言うゲームは、自分達のコールやプレイについての『事前にした取り決め』を相手側に対して完全に公開して行うゲームです。
 ブリッジ規則第40条B項の「パートナー間の秘密了解事項の禁止」には、『相手側がその意味を十分理解すると思われる時か、主催団体の規定に従ってコールやプレイの使用を公表していなければ、パートナー間の特別な了解に基づくコールやプレイを行ってはならない』と規定されています。
 これに対処するために、
 ・参加者のレベルに合わせて、『競技会毎に使用できるコンベンションを制限』
 ・『コンベンションカードの携帯義務と相手方による参照』
 ・『アラート制度』
 があります。
 近年、システム、コンベンションについての工夫がいろいろと進んで複雑多岐となり、『普通には理解できないと思われるコール』が多くなっています。これはコンベンションだけではなく、ナチュラルなコールでもそのトリートメントが標準的なものとは異なっているものも多くあります。
 アラート制度は、相手側に味方の取り決め事項が『普通には理解できないと思われるもの』であることを知らせるための手続きであり、公平な競技条件とするために設けられたものです。
 一方、道義的なブリッジプレイヤーは、味方の取り決めを完全に説明する義務があることを認識しており、かつ、この説明は全て相手方のためにするものであり、自分達のためには利用してはならないことを理解しています。
 以上述べたアラート制度の目的を理解していれば、ブリッジ・テーブル上でのアラートに係わる問題は自然に解消するはずです。

2. 具体的な補足説明:
 アラートに係わる幾つかの質問に対して具体的に説明しましょう。
1)アラートすべきコールをアラートしなかった場合には、「間違った説明をした」とみなされます。しかし、「間違った説明をした」場合でも損害を与えなければ、損害を補償するためのスコア調整はされません。
 また、「間違った説明をした」場合でも相手方がそのことを知っていたか、その疑いを持っていて質問するなどの指摘をしなかった場合には、損害を受けても補償されないことがあります。
2)経験や技量を持つプレイヤーが、相手方が特別な取り決めをアラートしなかったと気付いた場合には、相手方のコンベンションカードを参照したり説明を求めることにより自ら対処できるので損害を受けたとの主張は認められません。
 よくテーブル上で見かけますが、相手方のアラート忘れに気付いていて、それを理由にして後でディレクターを呼んでスコアを改善しようとする行為は大変、不適切です。
 『アラートチャート』のアラートの要不要は、現在の標準的なビディングシステムやポピュラーなコンベンションをベースにした指針を示したものであり、その本質はアラートの目的を達成することにあります。即ち、この指針とアラートの有無が少しぐらい外れていても特殊な取り決めであることに相手方も気付いていれば、不公平な競技条件にはなりません。
 なお、アラートすべきかどうか分からない場合は、アラートした方がよいでしょう。
 一方、特殊な取り決めであることに全く気付いていない可能性のある経験の浅いプレイヤーに対しては、アラート制度を十分に機能させて、公平な競技条件を保たなければなりません。
3)アラートするプレイヤーは、相手方に対してアラートしたことを認識させる責任を負います。
 形式的にアラートカードを出すだけでは不充分なこともあります。
 相手方が目を反らして居る時にアラートカードを出しても目的を達成してはいません。
 場合により「アラート」と口に出して伝えることも必要です。
4)あるコールがアラートされるべきであることを覚えているが、その意味を忘れてしまった場合でもアラートしなければなりません。
 よく聞くセリフの「取りあえずアラートしておきます」は不適切です。パートナーに不確かな理解であることを不当に伝えているからです。「アラート」とだけ云い、説明を求められたらコンベンションカードを参照してもらうとか、自発的にテーブルから離れてパートナーに説明してもらうとよいでしょう。
5)パートナーがアラートすることを怠ったり忘れていても、オークションの間はその様な素振りを見せてはなりません。
 また、パートナーが間違えている可能性があることを考慮に入れてはなりません。パートナーは単にアラートすることを忘れただけであり、正しい行動をしていると云う前提でオークションを続けなければなりません。
 ディクレアラー側が説明間違いをした場合にはオークション終了時に訂正しなければなりません。
 ディフェンダー側も同様ですが、プレイ終了後まで訂正することは出来ません。
6)一般にアスキングタイプのビッドは、そのレスポンスもアラートが必要になります。
 もし、最初のアスキングビッドについてパートナーがアラートしなかった場合でも、そのレスポンスをアラートすべきです。パートナーがそれによりコンベンションであったことに気付いたとしても止むを得ません。
 パートナーは別にして貴方自身は正しい行動をとらなければなりません。
 アラート制度の目的は特別な取り決めであることを相手方に知らせることにあります。
  例:Pass - 1
     2  - 2
 Drury 2に対して、パートナーはアラートを忘れた場合でも貴方は2レスポンスに対してアラートします。
7)取り決め事項についての説明を求められたら、取り決めた事項だけを過不足無く説明しなければなりません。これにはパートナーとの経験的に知り得たことも含まれます。
 しかし、実際のハンドなどから推測できた事項や自分の解釈を説明すべきではありません。取り決めていないことは「取り決めなし」と答えるべきです。
 パートナーがアラートしたことや説明により、自分のビッドが間違いであることに気付いた場合には、これは不当な情報になります。
 「ビッドの間違い」は反則ではありませんが「不当な情報の利用」は反則です。この不当な情報が無かったものとしてオークションを続けなければなりません。
 一方、取り決め事項は正しく説明されていて、単にビッドを間違えた場合は反則ではありません。多くの場合その相手側はよいスコアを得ますが、たまたま悪いスコアとなることもあり得ます。この場合は、単に偶然のご不幸な出来事となります。
8)パートナーとの取り決め事項は、コンベンションカードに漏れなく記述してあるはずです。
 従って、ラウンドの初めに相手方のコンベンションカードを見せてもらい、「使用システム」や「1NTオープンの強さ」などについての基本的な部分については理解するべきです。
 これらの事項で問題が起きても、参照義務を怠ったことになり原則として救済はされません。
 また、アラートされた場合に説明を求めるより、相手方のコンベンションカードを参照することで済みそうなことはカードを参照すべきです。これにより、説明の求め方や説明の仕方のまずさにより、不当な情報の伝わることが避けられます。

『相手方のコンベンションカードをもっと活用しましょう』

3. アラートの要不要の事例:
 ここに示す例は「アラートチャート」の規定にあるアラートの要不要を具体的に説明したものです。これはアラートすべきかどうかのガイドラインであり、ビッドの意味が多くの人に知られている事項かどうかによりアラートの要不要は区分されています。
 「アラート不要なものをアラート」したり「アラートを忘れた」場合でも多くの場合、問題はありません。相手方としてアラートすべきコールである可能性に気付いていた場合には、自分の利益を自ら守るための行動:コンベンションカード参照や質問することが要求されます。
 一方、経験の浅い人が相手であると思われる場合等には、相手が特殊な意味を持ったコールであることに全く気付いていない可能性もあるので、より親切に知らせてあげる気持ちが大切です。

  N E S W  
1)   1   P   1 ?     1オープンに対して、ハンドが弱い場合スートを飛ばして メジャースートをレスポンスする取り決めはアラート不要です。
  1
1NT?  
P   1/   P   オープナーの1NTリビッドが4枚のメジャーを隠し得る場 にはアラートが必要です。2NTリビッドの場合はアラート不 要です。  
  1   P   1 ?     が5枚保証の場合はアラートが必要です。  
2)   1   P   2     ゲームフォーシングの取り決めはアラート不要です。  
  1   P   1NT?     1NTレスポンスがワンラウンド・フォーシングの場合にはアラートします。フラナリーを使用しているペアは、説明を求 られたら4枚を持っている可能性のあることも説明します  
  1
2 ?  
P   1NT   P   フォーシング1NTに対するマイナースートのリビッドが3枚スートの可能性があってもアラート不要です。  
4)   1NT?         15-18 HCP範囲から外れる1NTオープンの場合、例えば13-15HCPであればラウンド開始時にプリアラートすると共に、実 際に1NTオープンした時点でもアラートします。
  1NT   P   2 ?     4枚のメジャーを尋ねるステイマンは、4枚メジャーを持っていることを保証しなくてもアラート不要です。 一方、1NTオープン後の5枚のメジャーを尋ねる場合はアラートが必要です。  
  1NT
2  
P
P  
2
2NT?  
P   4枚メジャーを持っていないことがある場合には、2NTをビッドした時点でアラートします。  
  2NT   P   3 ?     2NTオープン後の5枚メジャーを尋ねるステイマン3はアラート不要です。オープナーのリビッドは全てアラートが必要 す。
5)   2 ?         ウィーク2オープンはアラート不要です。  
  2   P   2NT?     2の代のオープンに対する2NTアスキングビッドは、アラート不要です。(フラナリー2に対する2NTレスポンスもア ート不要です)  
  2
3 ?  
P   2NT   P   オープナーの答は、アラートします。  
6)   2 ?         強いアーティフィシャルな2オープンはアラート不要です。逆にナチュラルでもプレシジョン2はアラートが必要です。  
  2   P   2 ?     ネガティブまたはウェイティングを示す2はアラート不要です。  
7)   1
4 ?  
P   1   P   オープナーのリビッド以降で3NT以上のビッドはその時点ではアラートしません。この様な4の代以上のビッドは、アラ トしなくても通常、特殊な意味を持っています。
オークションが終了しオープニングリードを選ぶ前に、まとてアラートします。これを「ディレードアラート」と呼びま す。
ディフェンダー側のビッドについても、オープニングリード決まりダミーが開かれる前にアラートします。  
  1
3 ?  
P   1   P   オープナーのリビッドが3NT以上ではありません。従って、アラートします。  
  1
4  
P
Dbl  
1
P ?  
P   パスが特殊な意味を持っている場合には、アラートします。「ディレードアラート」の対象はビッドだけです。パスやダ ル、リダブルは含まれません。  
8)   1   2 ?       マイケルズキュービッドなどの2スーターオーバコールや強いテイクアウトを示すキュービッドはアラートが不要です。(キュービッドがナチュラルの場合はアラートが必要)  
  1   1   P   2 ?   ダイレクトではないキュービッドも、ナチュラルな場合以外はアラート不要です。  
9)   1   1   Dbl ?     すべてのダブル、リダブルはアラート不要です。  
  1   Dbl   3 ?     相手方のダブルの後のプリエンプティブレイズはアラート不要です。  
  1   Dbl   3 ?     リミットレイズを意味する場合はアラートが必要です。  
10)   P
1NT?  
1   P   P   バランシングポジションでの1NTが2スーターハンドを意味する場合にはアラートが必要です。(パスした人の1NTオー バコールが2スーターハンドを示す場合はアラート不要です)  
  1   P   P   2 ?   バランシングポジションでのジャンプがインターミディエイハンドを示す場合はアラート不要です。(ダイレクトのジャ プオーバコールがインターミディエイトハンドの場合にはアラートが必要です)


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